ラミネートベニア
「ラミネートベニア」は、歯の表面に薄いセラミックス(陶材)の板(膜)を貼り付ける治療法です。この治療法は、セラミックス冠と同様に、天然の歯の色調を再現したり、歯をより白く見せたりすることが可能です。非常に薄い素材を使用するため、自然な見た目を実現しながらも、最小限の歯の切削量で治療を進めることができます。そのため、歯の表面だけが損傷している場合や、歯の色を改善したい方にとって、理想的な選択肢となります。
「ラミネートベニア」はセラミックス材料で作られており、非常に耐久性が高く、長期間使用することが可能です。また、セラミックスは生体に優しい材料であるため、アレルギー反応が起こりにくく、口の中での快適性が高く、自然な感覚を得ることができます。
さらに、「ラミネートベニア」は、歯の表面に貼り付けるだけで歯を削る量が少ないため、歯の神経へのダメージを最小限に抑えることができます。この治療法は、歯の損傷や変色を修正するだけでなく、歯並びを整えたり、歯の大きさをそろえたりする目的で使用することもできます。(ただし、適用される症例には限度があります。)
総合的に見ると、「ラミネートベニア」は自然な見た目、耐久性、生体に優しい材料など、多くの利点を備えた優れた治療法であり、多くの歯科医師によって積極的に採用されています。
症例 1 | |
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4本の歯の表面が、虫歯で広範囲に変色しています ラミネートベニアを4本に貼り付け、色と形を整えました | |
Before | After |
歯の表面が傷つき痛んでいます。 歯の周囲を削るほど、虫歯は進んでいません | ラミネートベニアを貼り付けました 削る量は最小で、審美治療が完成しました |
ラミネートベニアについて
症例 2 | |
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ホワイトニングとレジン、ラミネートを使って治療しました | |
1 左右2番目の歯(緑の矢印)の形が気になります | 2 ホワイトニングをしました (ホームホワイトニング 期間3週間) 以前詰めた歯の色が気になります(黄色の矢印) |
3 ラミネートベニア(通院回数2回) レジン治療(通院回数 1回)で治療しました | 4 自然な色と形になりました。 |
ホワイトニングは自費診療です(費用はこちらをご覧ください) ラミネートベニアは自費診療です(費用はこちらをご覧ください) レジン治療は保険治療です。 |
ラミネートベニア治療が行えない場合
以下のような場合は、ラミネートベニア治療に適しません。
歯垢や歯石が多い場合:歯の清掃が不十分であるため、歯のクリーニングを行い環境が整ったのちに治療を行います。
歯周病がある場合:歯周病は、歯の周りの組織が炎症を起こしている状態であり、治療が必要です。歯肉炎症があると正確な治療を行う妨げとなります。歯肉の状態が改善された後に治療を行います。
噛み合わせが強い場合:強い噛み合わせがあると、ラミネートが破折したり脱離したりする原因となる可能性があります。特に、ラミネートに直接噛み込む場合は避ける必要があります。
以上が、ラミネートベニア治療の行えない場合の詳細です。治療前には、歯科医に相談して適切な診断を受けることが重要です。
この記事の筆者
長谷川 亨(はせがわ とおる) 歯科医師 博士(歯学)
1959年 愛知県名古屋市生まれ。 愛知学院大歯学部歯学科卒業。
スカイル福与歯科等研修をへて1988年長谷川亨歯科クリニック開院
現在 同クリニック院長 (有)長谷川ビル 代表取締役
論文
・歯周炎患者歯肉の電子顕微鏡的研究 ―固有層の炎症層の特徴について― 愛院学院大学歯学会誌
・実験的歯の移動に伴う歯槽骨骨改造活性の動的把握の試み ―鉛生体染色法を用いて― 松本歯学
・ヒト歯肉組織の肥満細胞 免疫組織科学的研究 松本歯学 他