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日本臨床歯周病学会 第31回年次大会に参加しました(1)

去る6/15(土)16(日) に日本臨床歯周病学会 第31回年次大会に行って参りました。

札幌コンベンションセンターで行われ、
今年のテーマは 「ペリオドンティストが歯を守る~Wes save teeth」でした。
ちなみに ペリオドンティスト とは、一般的に歯周病専門医を表します。

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この学会は、臨床的なテーマがメインですので、いつも学ぶことが多いのですが、今年は2日目の
「アジスロマイシンを用いた抗菌療法によるインフェクションコントロール」五味一博先生(鶴見大学)のご講演が勉強になりました。

アジスロマイシンは 「ジスロマック」 の商標名(ファイザー社)で、歯科でも頻用される薬です。
効果が強力であるからといって、漫然と処方せず、その特性にそった使用をする必要があるという内容です。

アジスロマイシンの特徴である、病原菌の元に選択的に移動する、いわゆるファゴサイト・デリバリーについては、知っていたのですが、

  ファゴサイト・デリバリー :
  食細胞(好中球)内のリソゾームに取り込まれた高濃度のアジスロマイシンは、炎症部
  (歯周ポケット内縁上皮)に移行し細菌に対し効力を発揮する。それにより、強力かつ
  持続的抗菌力(7日間から長いと14日間)を現す。

タンパク形成抑制作用により、バイオフィルムを破壊する働きがある点(歯周病で効果を発揮する決め手となっています)や、アジスロマイシンを使用するタイミングやポイントについて、明確に示してもらえたのは有意義でした。

  アジスロマイシンを使用するタイミング :
  歯周初期治療終了後、基本治療 のフルマウスSRPの際、TBI SCで反応がよくないとき処方する。

さらに日本人は処方された薬をきちんと服用する人の割合が30%と低いという調査結果があることから(健康保険の弊害?)通常のジスロマック錠より、ジスロマックSR(シロップ)の方が効果的であること

また、ジスロマックで おなかをこわす理由は、 アジスロマイシンの分子構造が、腸の蠕動(ぜんどう)運動を亢進させるモチリンという酵素の構造と類似していることによるためで、腸内細菌が変化するためではない点。そしてそれを予防するにはセレキノン(蠕動運動抑制剤錠)が有効である、などの内容でした。

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去年に引き続き、saoriさんとrisaさんも 歯科衛生士セッションに学会参加していただきました。

(続く)