無痛治療ってどこまで無痛なの?
多くの歯科クリニックのホームページ(ウェブサイト)を拝見すると、無痛治療についての記述が多く見られます。
歯の治療は本当に痛くなくできるものなのでしょうか?
歯の治療に関しては、「とても痛い」と考える方が多いようです(実際にほとんどの人がそう思っていると思われます)。痛みを感じるポイントとしては、
① 麻酔注射を打つ際の刺入時(読んだだけでも痛そうです)、
② 歯を削る時、
③ 神経の治療をしている時、
④ 歯を抜く時、
⑤ 歯周病の検査で歯肉を調べる時
などが挙げられます。
歯の治療に従事する医師の視点から言えば、
麻酔が効いていれば 基本的には痛くありません。
つまり上の ②③④ については痛みを感じないはずです。
ただし、麻酔が効いていない場合には当然痛みを感じますので、麻酔が効いているかどうかは非常に重要なポイントです。
⑤につきましては、歯肉の知覚(炎症)を知るための検査ですので、いたしかたないのですが、痛みが強い場合には、麻酔や後述する表面麻酔剤を使用して行うこともあります。
問題となるのは①です。
これは、歯科医師の技術と使用する薬剤によってクリアすることができます。
最初の刺入点には、麻酔の塗り薬を粘膜表面に塗ることで効果を得ることができます。
薬剤は綿棒や綿球を使用して塗布するだけであり、痛みを感じません。
麻酔が効いた粘膜表面に、極細の針を注意深く、そっと、徐々に麻酔薬を注入すれば、痛みを感じずに麻酔を行うことができます。
これは、蚊に刺された時に痛みを感じないのと同じ原理です。
ただし、人の知覚には個人差があり、同じ人でも刺入時に感じやすい部位と感じにくい部位があります。
例えば、奥歯よりも前歯の方が刺入時に痛みを感じやすいです。
私(院長)は刺入時に患者様の目元を見ています。刺入時に知覚を感じると眼球が反射的に微細に反応するのですが、
3/4以上の方はその反応も認められないです。反応した方でも痛みを感じたわけでなく、知覚を感じただけで、「痛みましたか?」と尋ねると、ほとんどのかたが「いいえ」とお答えになられます。
それでも歯科治療に慣れていないため、極度に緊張している方は、知覚が敏感になって痛みを感じやすいと予想されます。そんな時には、笑気ガスを併用します。笑気ガスは鎮静作用により緊張感がほぐれますので効果的です。
もちろん神経の走行や、体調、精神的な状況により、麻酔の効き方が充分でないときは、すぐに追加の麻酔を行います。
一般的には、治療中に痛みを感じることはご心配いただく必要はありません。
無痛治療は可能です(特殊な例を除く)。
ご興味がある方は、無痛治療のページをご参照ください。