OSAS(閉塞性睡眠無呼吸症候群)への試み ~ その1
年末の12月13日(日)に睡眠歯科技術講座(中級臨床編)に参加いたしました。
会場は東京本郷の(一般社団法人)日本睡眠総合検診協会の研修センターです。
年末の開催ですので、少人数と思いきや、60人以上の参加者があり熱気に包まれていました。
参加の目的は、OSAS(閉塞性睡眠無呼吸症候群)のための口腔内装置(Oral Appliance ;OA)の為の知識を習得するためです。
ことの起こりは、当院に通院中の患者さんが、睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome :SAS)に罹患していて、睡眠中装着する装置(上記のOA)を作って欲しいとの申し出があったことでした。
大学でも習った記憶がなく、紹介するにも専門の診療所が近くにないため、これを機に勉強しようと受講を決めたのです。
※ 修了証を頂きました。やや、専門的な題材ですので、ご興味のある方のみ おつきあい下さい。
セミナーは睡眠障害の診断と治療から始まりました。(講師:伊藤洋 東京慈恵会医大 精神医学講座 教授,日本睡眠学会 理事長)
睡眠障害は不眠症が主なものですが、それ以外にもRSL(むずむず脚症候群)RBD(レム睡眠行動障害)などがあり、今回のOSAS(閉塞性睡眠無呼吸症候群)もその一つです。
睡眠障害は交通事故や転倒事故などの間接的な原因となるばかりでなく不登校や出社困難、うつ病などの神経症、身体疾患 ( 糖尿病、高血圧etc ) さらには寿命にも影響を及ぼすとのこと。そして睡眠障害による社会的損失は3兆5000億円に及ぶとの試算もあるとのことです。また、日本での睡眠薬の使用量の多さへの指摘もありました。
閉塞性睡眠無呼吸症候群(OSAS)について
・有病率は2~4% 日本の患者数は200万人以上
中年期以降の男性に多い
・症状は 日中の眠気、睡眠中の呼吸停止、いびき、口渇 など
・治療法はCPAP(シーパップ Continuous Positive Airway Pressure ;睡眠中、鼻から圧力空気を 送り込む装置)の装着や、今回の主題の口腔装置(OA)などがあります。
OSASでは、AHI(Apnea Hypopnea Index)が5以上で確定診断となり、20以上でCPAP(シーパップ)の適応となり保険治療が受けられます。
200万人いる患者さんの中で、CPAP(シーパップ)を使用しているのは40万人程度( 装置の供給数 )という事ですので、150万人以上の患者さんに何らかのOSASに対する治療が必要といわれています。口腔内装置(OA)はCPAPほどの治療効果はありませんが、取り扱いがCPAPに比べ簡易なので、その普及が期待されるところです。
AHI(Apnea Hypopnea Index ;無呼吸低呼吸指数)とは
睡眠1時間あたりの「無呼吸」と「低呼吸」の合計回数をAHIと呼び、この指数によって重症度を分類します。なお、低呼吸(Hypopnea)とは、換気の明らかな低下に加え、動脈血酸素飽和度(SpO2)が3~4%以上低下した状態、もしくは覚醒を伴う状態を指します。
( つづく )